関西ベンチャー企業の特色
「関西ベンチャー企業リスト」掲載企業における活動分野では、「医療」「IoT」「ライフスタイル」「バイオ・創薬」が上位を占めており、大学関連企業や医療産業都市等の施策、大阪道修町に象徴されてる薬の街としての土壌等の環境が、バイオ・ヘルスケアベンチャーを呼び込んでいる。
また、関西の既存産業の特徴である「ものづくり」から派生する形でベンチャー企業が立ち上がっており、「ものづくり×○○のベンチャー」も多いといえる。
関西ベンチャー企業 ~製造業~“ものづくり”から始まる関西ベンチャー
関西には、ベンチャー企業として「製造業」が多く存在しており、その事業分野は「IoT」「ライフスタイル」「人工知能(AI)」「ビッグデータ、データ解析」「ハードウェア」「ロボティクス」等幅広い分野において分布している。ものづくりからはじまった関西ベンチャー企業の多様性を示している。
「関西ベンチャー企業リスト」の府県別カウントでは、母数の多い大阪府、京都府を除いた場合、滋賀県、和歌山県において製造業の県内割合が高くなっている。
代表企業
関西ベンチャー企業 ~情報通信業~関西に築かれるネットワーク・コミュニティ
情報通信業は、その業種特性上場所を選ばないものであるが、実際にはエンジニアの確保、取引先との距離、資金調達の多様性等のメリットを享受するため、アクセスのよい地域への集積につながっていると考えられる。
「関西ベンチャー企業リスト」の所在地を地図上にプロットしてみると、京都市(烏丸通三条~四条)、大阪市(にしなかバレー、御堂筋周辺)に集まっていることがわかる。「京都リサーチパーク」やグランフロント大阪「ナレッジキャピタル」などの起業支援施設に入居している企業も多く、今後更なる集積が期待されている。
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関西ベンチャー企業 ~卸・小売業~ブランディング力で魅力を発信
卸・小売業においてベンチャー企業であるためには、特徴ある販売戦略、商材、マーケティング力等が求められる。「関西ベンチャー企業リスト」の府県別カウントでは、福井県や奈良県において、若干同業種の割合が高くなっている。
また業歴は長いが、経営者が若い企業も含まれている。先代が築いてきた製品やノウハウを生かしつつ、新たな価値を生み出すブランディングによって、再び活力を高めている企業もある。
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関西ベンチャー企業 ~バイオ・ヘルスケア~健康未来への一大拠点
「バイオ・ヘルスケアが強い」と言われることが少なからずある。何をもって強いとするかは明確な基準がなく難しいところではあるが、「関西ベンチャー企業リスト」において同分野と考えられる企業数割合は、特に京都市、大阪市において高いといえる。また、神戸市ではポートアイランドに「神戸医療産業都市」として研究開発拠点を構えており、他地域からの集積がみられる。
京都大学や大阪大学発ベンチャーにおいて同分野の企業が存在することや、旧来より製薬メーカーの集積を見ることができる地域でもあることから、一定の土壌が存在したことが要因として考えられる。
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関西ベンチャー企業 ~大学発~未来を切り拓く先端技術の発信
関西ベンチャー企業リストの中で、大学発ベンチャーと定義される企業は京都府や大阪府に多く、併せて大学周りにも分布している様子がわかる。
ジャンル別に確認すると、「バイオ・ヘルスケア・医療」において京都府、大阪府で件数が多くなっており、大阪府においてはそのほかに「ものづくり」についても比較的件数が多くなっている。
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関西ベンチャー企業 ~ベンチャー型事業承継~家業で起業!挑戦するアトツギたち
「ベンチャー型事業承継」とは、若手後継者(アトツギ)が先代から受け継いだ有形・無形の経営資源を活用し、永続的な経営を実現するために新たな領域に果敢に挑戦し、社会に新たな価値を生み出すことと定義される。老舗企業の多い関西には地域に根ざし、変革しながら成長し続ける企業が多く存在する。いわゆる第二創業や経営革新と呼ばれてきたことを近畿経済産業局が再定義し、地域の新しいベンチャーのかたちとして平成28年度から全国に先駆けて推進してきた。
関西ベンチャー企業リストにおける「ベンチャー型事業承継」の企業は、各地域のロールモデルとなる企業である。農業・製造業・サービス業など業種は多岐に渡る。
全国の経営者の平均年齢は59.7歳、今後10年のうちに平均引退年齢となる70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人であり、世代交代が進む中でアトツギによるベンチャー型事業承継は今後さらに増えていくと考えられる。