2019.02.18

【インタビューVol.27】自分の限界や業界の枠をとっぱらえ! 幸福度No.1の福井県をもっと幸せにする事業づくりで社会に貢献(テラオライテック株式会社/寺尾 忍氏)

福井県で上下水道工事や電気工事などの設備工事を手がけ、半世紀以上の歴史をもつテラオライテック株式会社。3代目となる寺尾忍氏は入社6年目の31歳の時に代表取締役社長に就任。すぐにライフスタイル事業部を立上げ、住宅リフォーム分野へ進出。

 

その後も飲食店の経営、アパレル、学習塾、福祉施設など精力的に他業種への事業も展開している。一方で環境課題や社会課題の解決と経済成長との両立を目指すSDGs(エスディージーズ、持続可能な開発目標)にも取り組んでおり、カンボジアで上下水道工事の現地法人を立上げ、新たな産業と雇用を創出するロールモデルとして他社も広く巻き込みながら活動している。

 

 

Q 家業を継ごうと思われたきっかけや社長就任された頃の思いについて教えてください。

 

A  子どもの頃は家業を継ごうとは思っていませんでした。中学や高校の頃ってどんな仕事がしたいのかなんて考えていなくて。特にやりたいことはなかったけど、それでも早く働きたいとは思っていました。

大学卒業後は親が勧める北陸では大規模な設備関係の会社に入社。3年経験を積んで家業に入社しました。自分自身では意識していなかったけれど、無意識のうちに家業を継ぐつもりだったのかもしれません。入社後に仕事とは別にJC(青年会議所)に所属したのですが、そこで責任ある仕事や役職をもつようになると、いろいろと仕事面でもいい話がわたし宛にくるようになって。

 

ですが、その都度社長である父に相談しないといけないのがもどかしくて。スピード感をもって確実に仕事に結びつけるには自分で実権を握らないと難しいと気づいたんです。そのことを父に相談すると、意外なことにあっさりと社長を譲ってくれて。わたしの気持ちを理解して、一線を退きすべて任せてもらえたことにすごく感謝しています。

 

 

Q 社長就任後すぐにライフスタイル事業部を立ち上げられたきっかけは何だったのでしょうか?

 

A 当時、設備事業は公共工事やゼネコンからの下請けが主で市場は横ばい状態でした。今後30年、自分が社長としてやっていかないといけないと思った時に、このままじゃ今の売り上げを維持・拡大するのは非常に難しいと危機感を感じてたんです。

市場が縮小傾向にある中で、他社と真っ向から競合していては業界が弱ってしまう。上下水道や電気工事は地域のインフラを守る仕事なので、業界が弱るということは地元の活力を奪ってしまう。わたしには地元を守らなければいけないという使命感もあったので、ライバルだけどお互い疲弊するわけにはいかない。

 

それなら自分たちは時代の変化に応じて新しい分野を開拓していこうと考えたんです。それと同時に、お客様であるエンドユーザーと直に接点をもちたいという気持ちもありました。

 

 

Q 突然の異業界への進出に、社内や周囲からの反発などはなかったのですか?

 

A 業界からの逆風は強かったですね。もちろん、辞めてしまった社員もいました。

 

新しく取り組みはじめたライフスタイル事業は、住宅リフォームなども扱うため、これまで仕事をいただいていた建設会社と競合する場合もあり、業界からの風当たりは強くて。福井県は閉鎖的な地域性なので新しいことを始めれば失う売上があることは覚悟していました。

 

新規事業には従来の社員を配置転換するのではなく、専属の社員を新しく採用し、パートナー企業も一から探してスタートして。

 

一方で、社内のバランスを取ることは難しかったですね。新しい分野を開拓することに「ついていけない」と感じられた社員の方は辞めてしまいましたね。当時の自分を振り返ると野心や危機感ばかりが強くて、とにかく推し進めることばかりに意識が向いていたのでアトツギという認識が薄かったかもしれません。

 

 

Q さらに、アパレルや飲食店など他業種への新規事業へ進出されたきっかけや思いを教えてください。

 

 

A 事業を通じた社会的課題の解決に、目に見える形で貢献をしたいんです。

福井県は、幸福度ランキングが日本で一位なんですよ。東洋経済新報社が発行する全47都道府県幸福度ランキングの2014年~2018年版で、福井県は3年連続で幸福度NO.1と発表されているのですが、そんな福井の幸福度を牽引することが事業の指針にもなっています。

 

アパレルや飲食店もきっかけは些細なことで、飲食店を辞める後輩からお店を買い取ってほしいとの依頼があり、「じゃあウチが引き継ごう」となって。アパレルも同じ感じでしたね。ですが、何でもいいわけではないんです。つまり、「福井県での幸福度につながる事業であれば何でも取り組む」という方針なんです。

 

例えば、リフォームや住宅建築分野なら、購入しやすいローコスト住宅を作ると核家族化が進んでしまうけれど、同居を促す二世帯住宅を提案するという風に。幸福度を上げるためにもっと教育に力を入れようと学習塾も始めました。

 

アパレルは釣り好きの社員も多いこともきっかけだったのですが、釣りウェアももっとオシャレで機能的なものを追求したいという社員の意見から自社ブランド立ち上げも模索。飲食では福井県とタイアップして地鶏のブランディングも始めています。全国展開を視野に入れ、今は県内に2店舗を運営しています。ほかにも高齢者向けの宅配事業も始めました。

 

どれも理念や指標を明確にしているので、「やりたい」と共感してくれる人が社内外から名乗り出てくれる。だから、わたしはあれこれ口を出さずに任せることにしていて。想いを共にして前へ進む仲間を大切に、社員が「いい会社でよかったな」と言えるようにしていきたいと思っています。

 

 

Q  SDGsにも取り組まれているようですが、きっかけは何だったのでしょうか?

 

A これはJC(青年会議所)がきっかけでした。
発展途上国の現地へ訪れて汚染した水しか飲むことができない環境課題や産業がなく貧困に苦しんでいる社会課題に触れたことで、今まで人ごとだったことが自分ごとに感じられるようになって。

 

一部JCで立ち上げた事業モデルを引き継ぎ、カンボジアで現地法人を立ち上げてカンボジア政府の協力のもと持続可能な上下水道のインフラ整備支援をしています。

 

最初は仕事とは関係ない所から始まりましたが、自分ごととして考えることで、自社の強みと結びつけて仕事に繋げられています。今後もSDGsのいい見本を作って、他社を巻き込みながらSDGsの活動を広げていきたいと思っています。

 

 

Q アトツギへメッセージをお願いします。

 

A 自社の事業の枠をとっぱらったら、見える世界も広がってどんどんチャンスが舞い込んできます。

 

「自分はこの程度」とか、「事業・業界はこうだから」と思いこんで枠にはまることを意識的にやめるよう心がけていると、「事業を引き継いでくれないか」という話が頻繁に入ってくるようになりました。そういうことは、直面してからやるかやらないかを判断すればいい。自分たちのビジョンをしっかりと打ち立て、それに対して自社としてシナジーが生み出せるのか、投資額も含めて、やるか、やらないかを判断すればいいと思っています。

 

アトツギには全く違う業界にアンテナを張り「業種の垣根を越えろ!」と伝えたいです。

 

 

 

 

 


<会社情報>

 

テラオライテック株式会社
https://www.teraolitech.jp/
〒915-0806 福井県越前市本保町8−5-1


 

 

 

(文:三枝ゆり/写真:中山カナエ)

アトツギベンチャー編集部

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